【THE・END】

きえないで

女王蜂 【十二次元】

 

私のお誕生日に女王蜂からプレゼントが来た。(勝手にそうした)

12枚目のアルバム・・・・💘

 

女王蜂が新作を世に出す度に「敵わんわ」って気持ちになる。

どこまで想像、創造出来るのかしらこの人達は。

MV一つ見てもからくりが山ほど在る。考察厨の私が歓喜する量の餌が撒き散らされてて、曲・歌詞・アートワークの総てに意味があってとても大事にされていて、アルバムというのはこういうことだなという再認識をさせられます。

取り零せない、そんなの勿体なすぎる。

手に取ったその瞬間からバンドの魂を感じる、血の匂いや肉の感触がするかのような音源とライブ。畏れ、が似合うバンドです。唯一無二。

 

1.油

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あの時売ってた油はどこへ?

というパンチラインで始まるこの曲。このテの曲は「油」が何の比喩なのか考えちゃいますよね。そもそも油を売るって言葉は油売りが長々と世間話をしながら売り歩くことが語源なわけで。そこからサボる、怠ける、という意味に通じるわけだけど。

あの時言ってた言葉はどこへ?

あの子が知ってたあなたはどこへ?

うん、これは私が聴いてしまうと自分へのぶん殴りソング、またはあなたへの。そう聞こえてしまうな。都合いいこと言ってなかったか、とか。売る為に喋った言葉のこととか。相手を鏡として自分へも送る言葉というか。そう思って聞いてた。でもさ、

ああ、忘れますか?って聞いたあとに

ああ、忘れました

って言うんだよな!!!!!!!何だろうこの鳥肌感。”あの時売ってた油”が忘れてはいけないもののように思って聞いていたところへのパンチ・・・「いつの私の話してんの?」みたいなさ。変化が悪いことじゃない、印象になって終わるんだよな。いつもアヴちゃんは世間の声や”普通”みたいなものに「は???」って気高く答えちゃう感じがもう堪らなく好きなんだよなあ。忘れてもいい、捨ててもいいことってあるんだよなっていうのが救いというかね。はあ、1曲目なのに長くなっちゃう(笑)

 

2.犬姫

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ほんとにもう女王蜂のアルバムは次の曲になる度に幕が上がる感じというか、1つの作品を見ている気持ちにしかならない。すごい。映像が浮かぶんですよね、だからライブが楽しみになってしまう。もう2曲目でそれを感じてる。

 

犬王という映画作品の声優を担当していたアヴちゃんが繰り出したこの犬姫という曲は、このMVが最高なので・・・(そして大好きなツダケン様がいる)まじでもう・・・この役に飲み込まれているようで吸収しているかのような、渦やらウロボロスのような構図は天才としか言えない。悪魔のような曲。

最近は考えるの 強いって 

とてもさみしくてつらいって

だから愉しさに縋りつくの

地獄で会いましょう 犬姫

犬姫が何なのか、私はアヴちゃんの核のように聞こえて堪らないよ。

強くて同時に儚い、と思うアヴちゃんだからこそ響く言葉だ。

楽しい、を選ばなかったところもまた素敵。

 

3.夜啼鶯

ナイチンゲール、素晴らしい歌声で死を告げる鳥。

サヨナキドリ (小夜啼鳥、学名:Luscinia megarhynchos)は、スズメ目ヒタキ科に属する鳥類の一種。別名ヨナキウグイス(夜鳴鶯)や、墓場鳥と呼ばれることもある。 西洋のウグイスとも言われるほど鳴き声の美しい鳥で、ナイチンゲール英語Nightingale)の名でも知られる。この語は古期英語で「夜に歌う」を意味し[1]、和名の由来ともなっている。

引用元:wikipedia

 

この次の曲である「MYSTERIOUS」への布石のような曲だと思った。後宮の烏というアニメのOP。この話を知っている人はすぐにピンと来るでしょうが、この作品に出てくる烏妃と呼ばれる主人公は死者の魂を呼び出せたり、魂を成仏させたりといった能力があります。うん、、、、、よくナイチンゲールと繋げたなあというゾッとする部分でもある。いつも言っていることですが、女王蜂のアルバムが1冊の本であると言う理由がここにあります。ページをめくる愉しさが素晴らしいんです。

そう来ると思って

死を呼ぶ鳥になりました

言葉の遣い方が凄すぎる。意味をまったくもって言葉で説明できないんだけど、なんだろうこの切なさは。

 

4.MYSTERIOUS

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なんとなく先程の説明にはMVよりもアニメ映像かなと思いこっちにしてみました。勿論MVは最高なんですけども。曲に映像合わせたのか、もうどっちが先なのかわからないけどこの合い方はガチで鳥肌立ってしまったんですよね・・・・。烏漣娘娘が飛び回る映像とのこの、もう、アニメのOPって結構1度見たら飛ばしちゃうんですけどこればかりは毎度毎度見てしまった。サビのMYSTE~~~~~~~RIOUSのあたりで視点が上空から降りてくると思うんですけど、何回何十回見ても鳥肌が止まらないんです。まじで名作だ。書き下ろしでこんなに作品の世界観と合っているのに、どうしてこうもアヴちゃんに重ねて聞けてしまうんだろうな。

一番いい役をやりましょう

誰よりも悲しくて殺せる役を

最初からキラーワードすぎるんですよ。もうアヴちゃんじゃん。みたいな。

この曲で一番好きなのは

呪いは願い 祈りは刺青なんですけどね。

なんて言葉を生み出してくれたんだろう。

私のMYSTERIOUSをこうも掬い上げてくれる。

 

5.KING BITCH(feat.歌代ニーナ)

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こっちは原曲の方ですが一応ね。

ウチら殺しとかしない、ほら夢に出られたらキモいからってまじで女王蜂って感じして大好きなんだよなあ。女王蜂、常に気高いんですよ。相手にしてないわよあんたなんか。って感じ。ああ~~~~もう超憧れる!!!!かっこいいんだもん!!!!強がりでもなんでもいい、そうあろうとする魂がかっこいいんです。もう。

きれいに穢れた美しさなんて普通に出てくる?

やっぱり私が好きなのはこういう人なんだ、って思ってる。

見事なまでの言葉遊び、韻踏み、アヴちゃんのバケモノみたいな強さに歌代ニーナが2強って感じのリリックとドス効いた声をぶつけてきてるのすごい。ニナちとアヴちまじ最強ギャル感強い。きぃりぷちゃんくらい強いギャル横に置いてケルベロスにしたい。

 

6.バイオレンス

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チェンソーマンのEDだから知ってる人も多いのかな。11話だっけ?近年の女王蜂の曲っぽい感じを持ちながらそれ以上の中毒性あるの悔しいな~~~!絶対にライブ映えするんだろうなって思ったらちゃんと見せてくれて最高です・・・・・

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公式が有能すぎる。ありがとう。いつもいつも音源以上のパフォーマンスっていうか、ライブで完成って感じがするのは女王蜂だけかもしれない。音源聞いて、歌詞カード見て、MV見て、生で見て完成する感じ・・・・絶対見た方がいい。私がライブ見て圧倒されたボーカリストはムックの逹瑯とアヴちゃんだけなんだよ。歌がうまいとかそういう基本的な圧倒ではなくて・・・・棒立ちにさせられた。畏怖。神様とか悪魔って実際に会ったらこうなるんじゃないかなってやつ。

やしちゃんのベースが好きすぎてつらい。

 

7.杜若

泥沼だって貴方と居れば

此処よりはマシでしょう

火の海だってわたしと居れば渡れるでしょうよ

なんてね

 

このなんてね!!!が!もう!!!!!わかりますかね!!!!!!!こちらは本当の気持ちなんだけど、あなたは違うのかしらっていういじらしさとか重いかなっていう配慮というか、最高に可愛いんだよ!!!無理!!!!失楽園で歌った「天国なんて行きたくない 君が居ないと始まらない」とか空中戦で歌ってる「君がいなけりゃ地獄もないけど」とかおんなじなの。この世で女王蜂が書く愛だけが私が思う愛と同じなの。そう、そうなの。それが愛とか大事にすることだよね、って。人それぞれだと思うけどさ。私が思う形にぴったりきすぎていつもいつも大号泣かましてしまう。ああ、よかったおんなじ人もいる・・・・わかってくれる人がいるっていうなんともいえない嬉しさと切なさ。

しかしこれこそアヴちゃんだったわ・・・というエピソードがありまして。こういうしっかり考えてる方の曲が花の名を付ける場合、すぐに花言葉を調べてしまう癖があってさ。初回で曲聴きながら調べてたんですよ。見たら全然合わないなあと思ったわけ。「幸運の訪れ」みたいな。ん~~~ってなってたら花言葉通りを求めたりしないで 幸せは運ばない 重ねたりしないで」って歌詞が耳に飛び込んできて。アアアアアアアアアアアアアアアアごめんねえええええええええええええええってなった。同時にゾッとした。かっこよすぎて。こっちが調べることがわかっててのこの流れ、ヤバすぎ!あんたの想像通りだなんて思わないでね、って言われてるみたい。かっこいい。好き。

さっき「なんてね」の言葉の可愛らしさ、いじらしさを書いたけどさ、最後には「ほんとよ」って消え入りそうな声で歌うの。ほんとよ、あなたはどうか知らないけれど私はそう思ってるのよ。っていうチラ見せする気持ち。ああ、もう。可愛い。こういう人でいたい。

 

8.回春

はあ~~~~~~~もうだめだ~~~~~~杜若からのここの感想はもう泣きながら書くしかないんですよ無理~~~~~~!!!まずこれ売春って曲の続編というか、まあそれなんですけども。

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回春、曲終わりに売春のイントロが流れるんですよ。鳥肌・・・・もう、鳥肌でした・・・・・そして回春、回る春・・・って思った時にあれもしかして回春のイントロって売春のアウトロと繋がるんじゃね???って思って聞いたら死んだ。

売春もとにかく好きで堪らない曲なのね。アヴちゃんもとにかく相手の心に残る、ってことに異常なまでの執念があるタイプというか。もう最悪叶わなくたっていい、一生貴方の心に残れるなら。というゴリッゴリの重いタイプなんだと思うんだけど理解できちゃうんだよなあ。私の春を、輝いた時代を、奪われても失ってもそれでもあなたならいいんです。みたいな。共犯者でいよう、ってファンにも言ってくれる言葉だけど私はすごく好き。いいなあ、ズブズブ。沼って感じ(笑)

回春の世界では結局その「春」を回り続けていること。

一番なりたくないものに人はどうして

最短距離でなってしまえるのだろう

よくもこんな歌詞を書けたよ・・・・まじで・・・・迷っても結局ここに辿り着くという気持ちの純粋さと執着とこういう気持ちの歌を見ているとアヴちゃんが八百屋お七を度々出すことにものすごく理解が出来る。放火騒ぎを起こしてまで好きな人に会いたいという狂気の愛。これを愛と呼ぶのは違う気もするけれど、阿部定にも同じようなことを思う。きっと、根本は同じだということ。

こういう歌を書くから夢中になっちゃうんだよなあ。

 

9.堕天

そしてここからこれに行くのよ!!!まじか!この曲は夜天の別アレンジ・・・と言えばいいのかな。もうさ、回春の世界から堕とすのはセンスありすぎです・・・・

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夜天にはコロナ禍に何度もお世話になり涙した。破魔矢を持って、歌い舞うアヴちゃんが希望を光を歌ってくれてる。初めて配信ライブで聞いた時は吐きそうなくらい泣いた。百鬼夜行のように歩く列を見た時は、ライブが悪だと言われていたことを思い返すと胸が張り裂けそうになった。まるで先導してくれてるようで。共犯、の重みを愛情を感じた。いつもはついてきたいならくれば?みたいな感じなのに。この時だけは一緒に行こうやって言ってくれてるみたいだった。突き抜ける空のような歌だった。シスターやら天使のような女王蜂がいた。

しかしこの堕天、真逆の印象の音になってる。悪魔の囁きというか、勿論タイトルがタイトルなのでそりゃそうなんだけど。歌詞が同じなのにどうしてこうも絶望が覆いかぶさってくるんだろう。音楽って凄いな。読むだけならわからない感情の違いを一瞬で伝えてくる。あの頃、あの頃、と回春で歌っていた気持ちに追い打ちをかけるような歌だった。

 

10.ハイになんてなりたくない

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初めて聴いた時の感想は「ハイ」と「灰」に聞こえてくるなあ、だった。ハイになんてなりたくない、灰になんてなりたくない絶対。

どうしてだろうな、女王蜂の歌は絶対的に女王蜂の物で、私達とは違う生き物で、理解も出来ないような人間だと思うのに、寄り添ってくれてるともまた違うし受け取り方によっては冷たいのに。どうしてこんなに血の暖かさを感じるんだろう。

「言い訳を歌いなって」とか「どこに堕ちたい?」とか私には一種の優しさに思える。もうこれ以上戦えないって人への最後の差し伸べた手のよう。堕ちることは決まってる、じゃあどうする?せめてどこが堕ちるのがいい?なんて私には最高の言葉かもしれない。

そして恋はアッパー愛はダウナーが秀逸すぎてもう。この使い方する人いる???好きすぎる。まじでその通り。

 

11.長台詞

これはライブで初めて聞いた。タイトルの通り、アヴちゃんがただただ何かを演じて台詞を話すだけの・・・・

「降る灰を見つめて 雪みたいって思った」

(ここでほら!!!灰来たじゃん!!!!ってドヤった私)

「無邪気に手を伸ばして 積もればいいなあって」

ライブ中、一体何の話なんだろうとは思いながらもその表現力に圧倒されていた。物語はわからないのにこの人が今何を感じているのかだけがわかる状態。言葉がない。ただ、切なさと恋しさだけが私達に降っていたように思う。

「ねえ お七」

この瞬間、すべてが繋がった気がした。八百屋お七だ。そうか、そうだ。だからか。そりゃね、お七のしたことは間違っていますししてはならないことなんだけども。

あなたに会いたかった

それだけで出来ていたこと

忘れたくない

忘れたくないなあ

深々と、その人への恋しさだけがその感情が心の中に降り続けて気付けば涙が出ていました。この誰かにならないで済むのなら、がわかる人はこの世にどのくらいいるんでしょうかね。どうしたって誰にも重なりたくない、残っていたいこの気持ちは。

一緒に行った親友は似た者同士なので一緒にずっと泣いてた(笑)

「今日は私あきちゃんの気持ちになって泣いちゃった」と帰りに零していた。武道館のSUPER BEAVERでは私がその子の気持ちで泣いてたりしたんだけど。こうやって理解というか共感してくれる友達がいることの幸せも感じたなあ。

 

12.十二次元

ついに来たラスト。

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ちょっと度肝抜かされたってこのことを言うんですね、みたいな。全12曲の締めくくりが何故こんなにショーの始まりというかライブの始まりみたいなわけ????ああそうか、これを聞き終えた後に本番のライブが来るのね・・・・?みたいな。わかります??この曲で始まるライブを想像しちゃったわけですよ。まるで序章のような11曲に突然切り替わった。は?何だこのセンス。

1~12の数字で言葉遊びをして、そこに十二支もかけたアートワーク、更にはこの12曲を模したデザインがちりばめられてる。カウントアップしていくだけのラストもワクワクしかない。なんだこれ~~~~~~~~~!!!!

神様が居るのは十二次元、って考え方があるんだよな。ヤバ。

十二次元にはそれぞれ領域があることを何かで読んだ。結構スピリチュアルな話になるのであまり好きじゃない人もいるかもしれないけど、私は割と好きですね。12曲あるしそれにあてはめたらどうなるんだろうと考えてみたけど、ちょっと無理にその意味に合わせようとするような感じになったので違うかなって思った。

 

作った人の心はその人にしかわかりませんし、人の脳内も都合のいいもので答え合わせというかそこに辿り着くように考えを捻じ曲げたり曲解することも多々あると思うのでほんとにただの考察遊び、です。真面目な。素晴らしいアルバムだった。1冊の本を、1本の映画を見たかのようだった。